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2019.03.08

時々、アカウントを削除する人に出くわす。それは大抵古い記事にいいねを押された時に、あれ?この消えたアイコンは誰のだったんだ?と気づくところから始まるのだが、申し訳ないことに消えた人が誰だかほとんどの場合思い出せない。ただのっぺりしたアイコンと、いいねを押してくれていた事実が欠片として残るだけだ。
そういうボクも以前SNSのアカウントを突然消したことがあるから、消したい衝動の一端は理解できるのだが、やはり何も知らされないまま目の前から忽然と消えられるのはショックだ。現実世界の死別なら、それに至るまでの時間的猶予がある場合が大半だし、これ以降はどう願ったところで絶対に会えないのだと思い諦めもつくが、アカウントの場合は当の本人はどこかで生きているのだから、消滅が実感を伴わずに妙な感じがいつまでも残ることになる。
考えてみると今のボクを形成したのはほとんどがリアル世界での経験だから、バーチャル世界の常識をボクはまだ知らないのかもしれず、こうやって無表情なアイコンが残ることがこの世界での死であることを、リアル世界のボクがリアルな感覚として理解していないだけなのかもしれない。アイコンだけが残るってことは、もうこの世界では永遠の別離、ちょうど現実世界で遺影だけが残っているのと同じ、という意味に理解すべきなのかもしれない。

リアル世界で見知らぬ人の葬儀に出くわしてもほとんど感情が揺れ動かないのに、この世界で表情を失ったアイコンに感情が揺れるというのは、いかにも偽善的でいやらしい感じもするけどね。
to be continued
Chica_Hanna_Lugh