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2019.03.30

すっかり春めいた。三週連続で長い散歩に出かけた。

高校に向かう坂の右手に桜が咲いていた。
3m程の高木で、手前の雑木の隙間を縫って枝を延ばしている。その枝先に花が散りばめるように咲いていて、ぱっと見、あたりの空間を支配しているようだ。

その先を歩くと、鶯が蝉しぐれのごとく鳴き始めた。春先には鳴き声を耳にしたことのある場所ではあるが、これほど多くの鶯が競うように鳴く様子は知らない。道が開ける場所までの半時あまり、絶えることのない鳴き声が続いた。
鶯は群を抜いたアスリートのようだ。彼らが鳴き始めると他の鳥たちは声を潜めてしまう。あたりは鶯たちだけの競演となった。

道が開け、田んぼのある場所まで来ると今度は雲雀が高い場所で鳴き始めた。
雲雀はよく喋る女生徒のようで、絶え間なく囀り続ける。明るく陽気。自意識の高い鶯とは大違いに開け透けな感じがする。

足元には名も知らぬ野辺の花が咲いている。黄色く小さな花。
花は黄色だと思わせる。

二時間歩いて不意にマーラーが聴きたくなった。
第五番。ここのところお気に入りでよく聴いているが、今日はいつもよりしっかり聴き入った。
第四楽章アダージェット。弦楽器が押し寄せる。この曲は大編成のオーケストラが本当に似合う。

四時間歩いた。
疲れた……。
to be continued
Chica_Hanna_Lugh