Top Stories Diary Index Next Before

2019.03.11

あの瞬間のことは明確に記憶が残っている。その日、家族と交わした会話も憶えている。
その後計画停電が始まり、世の中の景色と雰囲気が変わり日常が失われてからの事も記憶に留まっているが、そのひとつひとつがいつ何時のことかは判別がつかなくなり、ボクの記憶の中の震災は、夏休みに帰省で通った深夜の東名高速がやけに暗くとても不安になったこと、それが静岡辺りでいつもの明るさを取り戻し、安堵したこととともに終了している。
その翌年のこの日の記憶はもうない。人の記憶などこんなものだろう。記憶の蘇りを刺激する記録がなければ日々のことは大抵彼方に消え去る。
去年の今日、一昨年の今日のことも、誰と会話しただろうかということくらいは思い出せても、その日交わした会話まではもう蘇らない。
曖昧になる記憶は曖昧なまま、いつかフェードアウトするに任せるしかない。幸せな感覚だけが残ればそれでいいのかもしれない。


to be continued
Chica_Hanna_Lugh