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2019.04.12

二十代の頃、まだ社会人になったばかりの頃だったと記憶しているが、先に食事をしていると仕事から戻ってきた父親に、「お前は晩酌はしないのか?」と問われた。まだそんな習慣がない頃だったので、「しないよ」と応えると、父親は自分で酒の用意をしてひと言、「そうか。俺は毎晩飲まないと気が済まんがな」と言って、その後はいつも通り黙って飲み始めた。

晩酌、という言葉はこの時の父親の姿と重なりどこか物悲しい。仕事に疲れた中年がようやく辿り着いたひとときの場所、そんなイメージ。だから、晩酌をするか?と問われると今でも一瞬苦い笑みが溢れ、いいや、と応えることもある。

時は下り、いつしか自分も毎晩のアルコールが常態になった。酔うまで飲まないと気が済まない時期もあった。長い間一日も欠かさせない日が続いた。だが、やがて酒量は減り、時々アルコールを抜くようになった。

それが昨日、少し飲みすぎたか、ちょっとうたた寝のつもりが起き上がれないほど身体が重くなった。不意に、アルコールはもういいかな、と思った。振り返ると、晩酌はしないのか?と問われた日からずいぶん時間も経っている。

アルコールはもういいが、シュワシュワした喉越しの、ちょっとビターテイストな代わりの飲み物には何があるだろう?……


目覚めた時にはそんなことも思ったが…… 今は酔いも醒めた。週末だし、断酒はまた今度考えよう(笑)