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2019.06.11

今朝の気温は17℃。肌寒い。今年はずっとこんな感じで気温が上がらない。きっとさぞかし今年は寒いんだろうと思ってアメダスを確認すると、去年の今頃は最低気温14℃という日も何日かあって、今年がいつもより寒いなんてことは決してない。なんだか狐につままれた気分になった。

それほど人の感覚や記憶はアテにならない、ってことだろうか? 言われてみれば去年の6月のことを気温とともに思い出せるシーンなどなく、そんな状態で今年は寒いだのなんだの、決めつけることに無理があるのだろう。

無理はあるが、記憶に関しては思い込みで語ることがとても多い。そして思い込んでいるうちに事実がどうかなんてわからなくなる。
恐らく、多くの人と交わって生きる人は、各々がそれぞれの記憶を持ち寄って、都度、記憶の誤りや違いを修正するのだろうが、ボクは没交渉なので過去の記憶はきっと歪なままだ。

歪で不幸せかと言われれば明確にノーで、むしろ好ましい。自分に都合の良い記憶だけがどんどん積み重なる。
だから、過去の嫌な記憶はほとんどない。付き合った女性は誰も彼もみんなボク好みの素敵な女性だったことになってるよ(*ノω・*)テヘ

女子学生の次に出遭ったのは手押し車の老婆だった。場所は中学校隣の幼稚園に向かう細い路地。そこへは途中、1メートルほど階段状の坂を下りるのだが、もともと誰かの私道で舗装もされていない。そこを足元の覚束ない老婆が手押し車を押して下りようとしているのだから、いかにボクが人非人であったとしても、おいおいおばーちゃん、そりゃ危ないでしょ、くらいには思う状況だった。

しかし、ボクはできるだけ人と没交渉でありたいと願う人間なので、この場面でも優しく介抱するなんてつもりもなく、ばあさん大丈夫かなぁと思いつつもただその様子を後ろから黙って眺めるだけだった。
すると、ばーさん、どう考えてもそりゃ無理だろ、って段差を手押し車に体重を掛けて下ろうとする。おいおい、その格好で転んだらどーすんだよと、心配になるほどだ。さすがに気になり、手押し車を押してやらなきゃかなと、ボクにしては非常に稀な親切心を起こしばあさんに声をかけた。

おばさん、危ないよ

言っておくが、相手はおばさんの年齢を遥かに超えたばーさんだ。おいこら!ばばあ、でもいいところ、そこは紳士を以って任じるボクのことだから、わざわざ、おばさんと、数段階若い女性に使う言葉を選んで声をかけたのだ。

ところがばーさん、ボクの声にビクっと反応するや、キレッキレの素早さで身体を反転すると、あっ、すいません!とボクに道を譲ろうとする。その切れ味があまりに素晴らしかったので、ボクは一瞬老婆は仮の姿か?と思ったほどだ。しかしどうやらそうでもない。間違いなくばあさんだ。ということは、ボクはばあさんを異常に怖がらせた、ってことか? 変なオッサンに絡まれた、と思わせたってことなのか?

そりゃないだろ~、ばあさんよお……

心の中ではそう思ったのだが、ここでばあさんをさらに怖がらせるのも本意ではない。ボクは譲られた道を先に進み、すれ違いざま

別にいいんだけどね…… あぶないよ、おばちゃん

精一杯愛想のいい声で呟いた。だが、チラ見したばあさんの顔は明らかに引き攣ったままだ。ボクは足も止めずその場をそそくさと通り過ぎた。


確かに物騒な世の中だ。このばあさんも、娘たちから繰り返し、変な人に声を掛けられても知らん顔するんだよ、と言われているのかもしれない。このくらいの警戒心があって丁度いいのだろう。

でもねえ…… そんなに怖いかなぁ、ボク
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